目指したのは「水のように透き通り、宝石のように輝く革」
レーデルオガワは、創業1971年に始まったコードバン専門のフィニッシャーです。
1980年、当時コードバンはランドセルで使われる丈夫な革と言うイメージが定着していましたが、「井戸辰夫」という凄腕の革職人が、有名人の結婚式で配られる引き出物をコードバンで作ったことがきっかけで、一躍注目を集める素材となりました。
その後、百貨店のバイヤーなどがコードバンの持つ特性や美しさに気づき始め、少しずつ認知されるようになりました。レーデルオガワと言う名前が世に出回り始めたのもこの時です。
そして、開業から20年、創業者である小川三郎の悲願だった、「水のように透き通り、宝石のように輝くどこにもないコードバン」を作り出すことに成功。アニリン染めの技法によってコードバンが持つ本来の美しさを、多くの人に提供できるようになりました。
1995年、染色依頼を受けていた会社が倒産したことがきっかけで、新喜皮革の新田常喜社⾧と出会い材料の直接取引交渉が開始。
数か月後にはその許可が下り、染色工賃業から素材販売業へ転身し、レーデルオガワという理想の会社がついに完成したのです。そして晩年、ようやく思い通りのコードバンが作れるようになったと言い残し、2012年 小川三郎はこの世を去りました。
「吸い込まれるような透明感」
これこそがレーデルオガワのコードバンの魅力です。
この美しさを生み出すには、技術的に困難と言われる純粋な「アニリン染め」という方法しかありません。アニリン染めを行う為には、基礎となる下地をしっかりと整える必要がありますが、作業のほとんどは職人の力量が試されるアナログな物ばかりであり、各工程で正解を導くには常に感覚との闘いとなります。
革一枚一枚の素性や状態を見極め、その時の湿度と気温に応じた微調整を行いながら仕上げる事で、レーデルオガワ特有の色合いが生まれます。